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モバイルアプリのパフォーマンスを測るために知っておくべきKPI

by Yu Nakamura on Jul 1, 2021

マーケティングの各フェーズにおいて、アプリのパフォーマンスを正確に測定するというのはマーケターであるあなたの役目です。そしてそれを実現するために、数えきれないほど多くのKPI が存在しています。しかしすべてのケースにそれらを当てはめられるわけではなく、指標もそれぞれに異なります。

特にモバイルアプリはその中でも特異な存在です。ユーザーに見つけてもらう段階で、多くのライバルたちの中で目立つのは簡単なことではありません。ベストなユーザー体験を提供し、最適な水準でエンゲージメントを維持することも重要です。

アプリ内課金、広告、サブスクリプション、アップグレードなどのマネタイズ戦略は、多くのアプリマーケターが時間を費やすところです。それは時として、維持する価値のあるユーザーは誰か、など深い分析を犠牲にして行われています。

モバイルゲームのマーケティングをより上手く進めていくうえで知っておくべき、追うべきKPIをいくつかご紹介します。それにより、様々なアクティビティを最適化していくことができます。

  • ユーザー獲得
  • 体験とエンゲージメント
  • マネタイズとその評価
  • 離脱とリテンション

ユーザー獲得によく使用される KPI

2020年はモバイルアプリに対する支出が世界で1,120億ドルに達し、モバイルアプリ産業が大きく急速に変化、成長した年です。 その中でも最も急激に成長したのがゲームで、モバイルアプリの総ダウンロードの33%を占めていました。アプリの中でも最も人気のある、ゲームというカテゴリの中で、ユーザーにゲームを見つけてもらうのは簡単なことではありません。さらには、インストール、会員登録、想定通りにアプリを使ってもらうべく各種許可をさせるのは更に難しいことです。

難しいからこそ、各インストールがどのチャネルからのものなのかを把握し、関連する収入と支出を追跡するという作業は必須です。注意するべき内容をご紹介しましょう。

アプリストア最適化(ASO)とアトリビューション

ユーザーがゲームを見つけ、ダウンロードするかどうか決めるプロセス(ユーザー獲得)は、多くのマーケターにとって関心の深い事柄です。 アプリストアのページ管理も含め、アプリストア最適化(ASO)の戦略は大切ですが、それ以外にも注視すべきKPIがあります。

  • インストールまでの閲覧回数:インストールする前にユーザーが何度その商品を見るか、あるいは接するか(広告やブランドのパフォーマンスを測る良い尺度になります)。
  • インストールソースのアトリビューション:ユーザーがアプリに触れ、インストールへ繋がった流入元。

ポイント:パフォーマンスの高いチャネルに対するマーケティングを強化したり、逆にパフォーマンスの低いチャネルでのマーケティングを縮小、ないしは停止したりすることで顧客獲得単価やCPAを抑えるためにも、アトリビューションを正確に測定することは非常に重要です。

ダウンロード、インストール、登録、許可、アップグレード

総ダウンロード数は当然追跡しておかなければならない指標ですが、ダウンロード数というのは実は氷山の一角でしかありません。実際に使ってもらうためには、ユーザーにインストールまでしてもらう必要があるのです。このため、何%のユーザーがこのプロセスを完了できていないのか、そしてその理由を追跡するべきです。

さらにはユーザーには会員登録などが求められることがあります。これには個人情報の提供、許可(写真や連絡先へのアクセスなど)、今後のコンテンツやアップデートへのサブスクリプション登録などがあります。

ポイント:どのケースでもマーケターに求められるのは、「完了されなかった」操作を追跡することだけでなく、それぞれの操作を完了するのにどれだけ時間が掛かったか(例えば、インストールに2分、登録に2時間、サブスクリプション登録に2日)をコツコツと追跡することです。

CPI、CPA、そしてCAC

ユーザーのオンボーディングに掛かった費用を測定するためにはいくつかのアプローチがあります。 Cost Per Install (CPI)のモデルでは、1人のユーザーがアプリをインストールするまでに掛かったコストを、そのアクションを生み出すまでに掛けた費用を元に計算します(例えば、広告に9,000ドル掛けてインストール数が6,000だった場合、CPIは1.50ドルになります)。

CPAモデルではこの費用を総経費として、より全体的に見るアプローチをとります(例えば、純原価50,000ドルのキャンペーンから新規ユーザーを25,000人獲得したら、CPAは2.00ドルになります)。

そしてそれ以上に粒度が高いKPIとしてCustomer Acquisition Cost (CAC)があります。これにはオーガニックでの獲得も含まれ、マーケティング周辺の活動(インバウンドコールセンターリクエストや特別イベントに起因するセールスなど)のインパクトを測定します。

ポイント:マーケティングキャンペーンを全体論的な視点から見るためにも、CPI、CPA、およびCACを測定するべきです。これによりキャンペーンを最適化し、リソースを効率的に活用できるようになるのです。

体験とエンゲージメントを測るKPI

ゲームアプリのマーケティングにおいて、データドリブンのマーケティングが主流となってきているのには理由があります。効果があるためです。

チャネルをまたいで収集した行動指標は、ユーザーが何を求めているのかを知るヒントになるので、追跡、観察していくべきです。追跡すべきユーザーの重要な行動には次のようなものがあります。

セッション

マーケターの多くは、タップや広告に対する反応といったデータと同じレベルでは、アプリ内のパフォーマンスのデータを追跡していないようですが、それは間違いです。アプリ内のパフォーマンスデータを理解することで、最終的に収益を左右するようなユーザーの行動の背景が分かるためです。

ユーザーのセッション、つまりある一定期間におけるプレイヤーのゲームとのかかわり(一定レベルへの到達、アップグレードの購入、パフォーマンス低下など)を追跡するべきだということです。以下のようなセッション関係のKPIは是非追跡しましょう。

  • セッション数:通常、多いほうが良いとされます。
  • セッションの長さ:できるだけ素早く何かを終えるというようなゲームでない限り、長い方が良いとされます。
  • セッションの間隔:セッションとセッションの間にどれくらい時間が空くか。
  • セッションの深さ:1セッションでユーザーがどのくらい深く入り込むか(レベル1からレベル4に上がる、閲覧から購入に至る、など)。

レイテンシとクラッシュ

マーケティング的にはあまり魅力的な題目ではないかもしれませんが、アプリ内における技術的な欠陥は、ユーザーエクスペリエンスとエンゲージメントに大きな影響を与えます。読み込み時間(レイテンシの要因)は、目を光らせておくべきアプリパフォーマンスのKPIの1つです(読み込みが遅いと、セッションの短縮、アンインストール、LTV低下などに繋がります)。

クラッシュも、アプリマーケターにとっては一大事です。スムーズではない体験(レイテンシ、フリーズ、強制終了など)はすべて、ユーザーにとってはクラッシュと解釈され、それがそのままApp Storeのレビューに書かれてしまいます。したがって、このような技術的な要素がユーザーエクスペリエンスやビジネス成果にどのように影響するのかを理解するのに時間をかけるのは理にかなっていると言えるでしょう。

ポイント:ユーザーが直面する技術的問題の影響力を過小評価してはいけません。質の低いユーザーエクスペリエンスは、セッションの短縮、収益減、アンインストール、そして低評価レビューに繋がってしまいます。

マネタイズに関するコアKPI

ユーザーにゲームをインストールしてもらい、日常的に頻繁に使ってもらう、というのは単なる出発点です。次は、そこからどうやって収益に繋げていくかを考えていかなければなりません。ゲームのマネタイズのポテンシャルを最大限に伸ばすためには、ユーザーの行動を理解し、動機づけをする必要があります。収益性を最大化するために追跡すべきKPIをご紹介します。

DAU、MAU、スティッキネス

  • DAU:デイリーアクティブユーザー数
  • MAU:月間アクティブユーザー数
  • スティッキネス:ユーザーがゲームに戻ってくる頻度

これらはエンゲージメントの頻度を測定する標準的なKPIです。アクティブなユーザーが多いほど、当然全体的な収益のポテンシャルも高いということになります。どちらのケースでも計測しているのは1日当たり、あるいは1カ月当たりに実際にアプリを利用しているユニークユーザーです。 DAUをMAUで割り、100をかけるとスティッキネスを算出できます。DAUがMAUの数値に近いほど、アプリのスティッキネスは高いということになります。

ポイント:DAU、MAU、そしてスティッキネスを追跡しておくことで、プレイヤーを長く惹きつけることができ収益へとつながる可能性も高くなるので、収益性のポテンシャルを確実に高めることができます。

購入するまでの時間、ARPU、LTV

  • 購入するまでの時間:アプリをダウンロードした人が購入に至るまでかかる時間。
  • ユーザー1人あたりの平均収益額(ARPU):ある一定期間の1ユーザーあたりの平均収益額。

ARPUは多くのゲームアプリマーケターが利用するまさにこれといった指標ですが、かといって万能なKPIかというとそうではありません。アプリの収益化は、収益性のポテンシャルを最大化できるかどうかによるところが大きいためです。

顧客の生涯価値(CLTVまたはLTV)のKPIはそれよりさらに深く、ユーザーの全体的な経済的機会を、通常コホートの一部として測定しようとするものです。計算式は以下のようになります。

LTVは以下のように3つのカテゴリに分解するのが良いでしょう。

  • マネタイズ:インプレッション、サブスクリプション、アプリ内課金でどれだけ顧客が収益に貢献しているか。
  • リテンション:ユーザーのゲームに対するエンゲージメントの高さ、特に顧客の平均ライフサイクルの長さ。
  • バイラリティ:1人の顧客による口コミで新規に獲得できたユーザーの合計値(下記参照)。

平均的なユーザーの収益が毎月1.35ドルで、1カ月当たりの離脱率が60%だったとしましょう。ユーザーたちは間違いなく、評価やレビューであなたのゲームを広めてくれていますが、正確な数は計算できないので、リファラル値は0としておきます。各数値をあてはめてみると、平均的な顧客の予想LTVは2.25ドルと算出されます。

AppLovin CLTV formula example equation

ポイント:購入するまでの時間、ARPU、およびLTVを測定することでゲームの収益性のポテンシャルを算出することができます。

 

離脱とリテンション

離脱とは、ユーザーがアプリをアンインストールしたり、サブスクリプションを解約したりする率を計測するものです。ユーザーに見つけてもらう過程で潜在的ユーザーに狙いを定めてマーケティングを行うのと同じくらい、利益を生むユーザーを維持したり呼び戻したりすることにもエネルギーとリソースを投じるべきです。

“アプリをアンインストールするユーザーの数”はマーケターにとって重要なKPIですが、それ以上にアンインストールの理由を把握することが重要です。そもそもユーザーを呼び戻したいほどARPULTVは高かったでしょうか?

マーケティングの各フェーズにおいてゲームアプリのパフォーマンスを計測する指標は上記以外にもたくさんあります。比較的シンプルなものから、かなり複雑なものまでさまざまです。

KPIを絶対的真理だと考えるのではなく、データから常に学び、重要なユーザー行動にのみフォーカスし、新規ユーザー獲得、ゲームの収益化を実現できる最も重要なKPIを選ぶようにしましょう。

 

Yu Nakamura|Business Development